
相続土地国庫帰属制度の創設は所有者不明土地の発生を実体面から予防するものですが、相続登記の義務化は、所有者不明土地の発生を登記の面から予防するものです。
(法務省HP、法律条文をもとにレジュメ的にまとめてあります。)
【1】
所有者不明土地とは
①
不動産登記簿により所有者が直ちに判明しない土地
②
所有者が判明しても、その所在がわからない土地
⇒一言でいうとすぐに所有者に連絡が取れない土地のことです。すぐに連絡を取れないとその土地を利活用したい人がいても売ってもらうための交渉すらすることができません。そのため、利活用されず、結果として管理の行き届かない土地になってしまいます。
【2】
なぜ所有者不明土地が発生するか
不動産登記法において、権利に関する登記に申請の義務はなく、権利に関する登記の一つである相続登記も申請義務がありません。また、相続登記をしなくても大きな不利益を被ることが少ないため、費用や時間を使ってまで登記する必要性も少なかったということができます。相続登記をすることなく、何十年も放置しておくことにより、その土地に対する相続人が増えていき、相続人の特定が大変難しくなります。結果として処分することも困難になります。
【3】
相続登記を義務化して、所有者不明土地の発生を予防する。
所有権の登記名義人について相続の開始があったときは、相続により所有権を取得した者(遺贈により所有権を取得した相続人も同様)は、自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、所有権を取得したことを知った日から3年以内に所有権移転登記をしなければならないこととなりました。また相続登記義務の履行を担保するため、正当な理由なく申請をしなかった場合は、10万円以下の過料に処する規定が設けられました。
【4】
相続人である旨の申し出(相続人申告登記の創設)
相続登記は、相続人の確定及び相続分の割合の確定をするため被相続人の除籍謄本等の書類の収集が必要となるため、登記申請の手続的な負担が大きく、また、相続人間で遺産の分割協議にも時間を要します。その労力を軽減するため、相続人が①相続が開始した旨と②自らが相続人である旨を3年以内に登記官に対し申し出ることで、相続登記義務を履行したものとみなす制度を設けました。申出をした相続人の氏名・住所は登記簿に記載されるため、登記簿を見ることにより相続人に関する情報を把握することができます。これにより、所有者不明土地の発生を予防する目的は一応達成されます。ただし、その後、遺産分割が成立した場合には、その内容に応じた登記申請をしなければなりません。なお、3年以内に遺産分割が成立したケース、成立しなかったケース、遺言書が存在したケースもそれぞれ理解しておく必要があります。)
【5】
10万円以下の過料について
3年以内に相続登記又は相続人申告登記をしなかった場合、10万円以下の過料の対象となります。過料を科す場合は、裁判所における手続きを得ますが、登記官が申請義務違反の事実を把握しても、直ちに裁判所への通知は行わず、あらかじめ申請義務を行う者に催告するとしています。催告に応じて相続登記を申請すれば過料の処分は受けません。早いに超したことはありませんが、急を要することはないというこができます。
【6】
令和6年4月1日前に相続があった場合
あらたな制度が施行される前に、相続があった場合にも相続登記の申請義務があります。
この場合、施行日から3年の猶予期間内に申請しなければなりません。要するに、過去を含め、相続があった場合は必ず相続登記をさせることによって、所有者不明土地をなくすという目標を達成できるのです。










